観音寺の土塀

東京都台東区は谷中のいつもの散歩コースに、「観音寺の土塀」という瓦屋根の付いた古い塀があります。谷中界隈の散策スポットの一つになっており、様々なウェブやブログでも紹介されています。
でもそのほとんどが少しだけ説明不足なので、ちょっとだけ補足しておきます。
谷中の観音寺にある塀は、正式には「練り塀(ねりべい)」と言います。瓦と粘土を交互に積み重ねて造った塀の事で、徳川時代の大名の邸宅や寺院などに多く造られたようです。別名は「土塀」とも言いますからけして間違いではないのですが、本来は「観音寺の練り塀」と云う訳なのです。

因みに“築地塀(ついじべい)”とは、板(木板や瓦とか薄い板状の石とか)を土で塗り固めた表面に白漆喰を塗って瓦屋根をのせたものを言います。さらに、安土桃山時代以降の城郭(敵の侵攻を阻むための設備)から使用されたもので、その塀を使えることができるのは身分の高い「五位(ごい)」以上に限るのです。
築地塀の種類の中には「筋塀(すじべい)」といって白色の横筋(よこすじ)を刻んだ塀があり、それが一般的には築地塀と黙認されているみたいです。↓参考写真です。

練り塀も築地塀も、旧来の木板塀では衝撃に弱いため、鉄砲とか槍で攻撃された時の防御のために厚く造られているようです。

-アーキテクト

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