設計事務所は、しばしば設計競技(コンペという)に参加します。指名コンペやオープンコンペ、設計者選定コンペなど方式は様々ですが、何れにせよ最終的に作品を世に送り出すことを夢見て真剣に取り組んでいます。自分たちが選ばれなかった場合でも、完成した実施案を見学して、何が受け入れられなかったのか反省することも忘れません。
しかし、時として「なぜ?」という気持ちにさせられるコンペが無いわけではありません。
ここに示す写真は、葛飾区にある小学校の体育館。今から3年程前(以前努めていた事務所時代)に参加したコンペの当選案がどのようなものだったのか気になっていたのですが、なかなか見に行けずにいたところ、先日小学校の近所に用事があったので訪ねてみました。
老朽化と使い勝手の悪さから建て替えが決まった、旧体育館がこちら↓
様々な事情があって選定されたと思うので、敢えて批評はしませんが、少々奇妙な感じを否めません。前の体育館の方がインパクトがあるような気さえします。
私たちの案では、子供達の居場所としての体育館ということと開放性(まちに対しても開いた学校)を主旨としていたため、考え方が相容れなかったのかもしれません。実際に敷地周辺のネットフェンスや門扉の設置状況などをみると、学校のセキュリティという社会問題を踏まえても、設計者不在の状況に憂慮してしまいます。
これが公共建築の実態であるとすれば悲しいことですし、人々の思い出といった心の問題にまで踏み込む必要がある建築設計に携わる者として、あらためて挑戦の意欲を掻き立てられる思いです。
学舎とか学校という場所の思い出は大切にしないと・・・・・。